一般外来
通常、生まれてすぐの赤ちゃんは風邪をひきません。それは母体(お母さん)の免疫グロブリンという免疫物質が、胎盤を通じて受け継がれているからです。お母さんが風邪をひくということは、その病原体に対しての免疫を持っていなかった(あるいは免疫が少なかった)ということを意味しますので、その病原体に対しての免疫は赤ちゃんも持っていないことになります。産後の体調は十分に注意してください。免疫グロブリンの半減期、つまり量が半分に減る期間は2~3週間です。そのため、生後4~6か月でお母さんの免疫グロブリンがなくなります。この時期からの感染症は、赤ちゃん自らの免疫で戦うことになります。
さて、こどもの感染症の9割はウイルスが原因です。このほとんどは抗生物質が効果ありません。効果がないばかりか、耐性菌が増える、下痢する、将来の炎症性腸疾患の可能性が増える、心臓疾患で死亡する可能性が増えるなど、悪いこともあります。したがって、抗生物質は必要なときだけにとどめておいた方がいいのです。なかには、細菌性髄膜炎(外来患者5万~20万人に1人)などの重症細菌感染症もありますが、内服の抗生物質で制御できるような細菌ではありません。最近はヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンのおかげで、細菌性髄膜炎患者はさらに減少しています。当院では、診察の結果で細菌感染症の所見がある場合や、検査などで細菌感染の可能性がある場合に抗生物質を処方するようにしています。
アレルギー外来
気管支喘息は1980年代には病態が気管支の慢性炎症であることが解明されましたが、その時代以降も治療法はずいぶんと変わりました。私が研修医のころはround-the-clock therapy(RTC)療法という、テオフィリン血中濃度維持療法が主体でした。2000年に小児に対してロイコトリエン受容体拮抗薬(オノンやキプレス、シングレア)が使えるようになり、小児の気管支喘息の治療が変わったように思います。
また、そのごろから治療ガイドラインも整備され、吸入ステロイドを用いてでも発作をなくすことが推奨されています。当院では独自の治療法ではなく、多くの専門科が推奨する「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」に準じて治療を行っています。
アトピー性皮膚炎は皮膚の病気で、二次的にアレルギーを発症するのではないかと言われています。つまり、皮膚のバリア機構が破綻することで、抗原が体内に入って感作が成立します。そのため、アトピー性皮膚炎治療の基本はスキンケアです。症状に合わせてかゆみ止めなど内服する場合もあります。また、食物アレルギーなど、各種アレルギー検査も施行していますのでご相談ください。